Who He Was
2003年6月、イラク・ティクリート。カメラを向けられ、恐怖と怒りの入り混じった目をする少年に、彼は静かに語りかけました。
"I'm your friend."
彼は常に「名もなき人々」の目線に立ち続けました。ジャーナリストとして特ダネを追うのではなく、そこで暮らす人々の息遣いを伝えること。それが彼の流儀でした。
かつてリベリアの内戦を取材した際、ブルドーザーで遺体が無造作に埋められる光景を目撃し、彼は深く傷つきました。重いPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみながらも、彼は自問し続けました。「伝えること」にどんな意味があるのか。その答えを探すように、彼はまた戦地へと足を運びました。
証言:イラク人通訳 ディーナとの絆
━ケンジは私に言いました。
『君は勇敢な女性だ。必ずできる。心配しないで、僕がついてる』
映画「後藤健二・未来からのメッセージ」より —
彼は取材協力者を単なる「現地スタッフ」として扱いませんでした。命の危険に晒された彼女が亡命を希望した際、彼はパリまで駆けつけ、彼女の新しい人生の扉が開くまで支援を続けました。それは、取材者と対象者という枠を超えた、人間としての約束でした。